COLUMN
2023.03.03
いまなぜ社外取締役が必要なのか【Vol.2】社外取締役における信頼性の担保について
JSEEDS 一般社団法人社外取締役コンソーシアム...続きを読む
JSEEDS 一般社団法人社外取締役コンソーシアムは「社外取締役の役割を最大化する」という思いのもと、2021年に立ち上げました。同年はコーポレートガバナンス・コードの改定もあり、社外取締役の重要性はもちろん、多様性のある人材確保に企業は高い関心を示しています。「いまなぜ社外取締役が必要なのか」JSEEDS代表理事 金子 信義が本音を語ります!
<金子 信義プロフィール>
高度な専門知識を持つスペシャリストに特化したエグゼクティブ層の人材戦略コンサルティング会社Kaneko&Associates(カネコ・アンド・アソシエイツ)を1998年に設立。米国カリフォルニア州を拠点にグローバル企業を対象としたエグゼクティブサーチを手がけ、2006年に東京オフィスを開設し、2021 年にJSEEDSを設立。前職はアメリカにて牧師をしていた異色のヘッドハンター。
世界時価総額ランキングTOP100*を見ると、日本企業はトヨタ(2023年3月3日現在 47位)だけがランクインしています。たった1社だけです。30年前は約30社の日本企業が名を連ねていました。この事態について、前向きな“危機感”を持つべきです。「失われた30年」とよく言われますが、この30年をどのように巻き返すべきか、日本企業が国際競争の中で再び成長するにはどうしたらいいか、真剣に考えることが大事だと思っています。*https://www.corporateinformation.com/top-100.aspx?#/tophundred
このままでいくと、緩やかな経済の低下と企業の衰退が止まりません。天然資源が少ない日本だからこそ、ソフトパワーを含めた「ものづくり」は日本の宝ですよね。この宝をどうやったら世界にアピールできるかを考えたときに、もっとも重要だと感じるのが、経営陣の強化だと思います。この経営陣をステークホルダーに代わって、ガバナンス、取締役会がきちんと機能しているかを監視するのが社外取締役です。
2021年にコーポレートガバナンス・コードの改定がありました。プライム市場の上場企業においては、独立社外取締役を1/3以上を選任することとなっています。2018年の改訂にあった「ジェンダーや国際性」という多様性に加え、2021年では「職歴、年齢」もプラスされました。一見すると、ダイバーシティ化が進み、さまざまな経験と知識をもった人たちが集結・・・という印象ですが、はたして現実はどうでしょうか。欲しい人材の条件だけがひとり歩きをし、「条件さえ合えば誰でも良いから連れてきて」と社外取締役を決めてしまっている企業も散見します。社外取締役は「お飾り役」「数合わせ」そんな言葉で片付けられるほど、簡単な役割ではありません。日本企業の活性化のカギとして、独立性の高い社外取締役は、これからさらに重要な存在になっていくでしょう。
海外では社外取締役をサポートするシステムがあります。毎年カンファレンスが開催され社外取締役の社会的重要性や責任について、活発にディスカションが行われています。代表的なのがNACD*(National Association of Corporate Directors)で、認定会員制度を設けて社外取締役のための研修や教育を行っている非営利団体です。所属会員には個人と法人があり、運営費はコーポレートスポンサーが協力しています。こういう社外取締役のプラットフォームをつくるという発想は日本にはないですよね。健全で透明性のある社外取締役がいることは、企業のガバナンスだけではなく会社の成長として、とても大事なことだと思います。そのためにもNACDのようなシステムを取り入れられたらいいですよね。*https://www.nacdonline.org/
もしあなたが企業の経営者だったら「会社は誰のためにあるのか」ということ常に考え、多くの人たちとディスカッションをする必要があると思います。昭和の時代は、「会社は社員のためにある」というファミリーメンタリティが蔓延していたと思うのですが、いまの時代は社員だけではなく、サプライチェーンで働く人たちや、会社がある地域の環境や住民のことだとか、マクロな存在になってきています。そのためにもさまざまな知見をもった人が必要ですし、新たなエコシステムを導入できる人たちが活躍できるはずです。<vol.2へ続きます>